大規模修繕の費用相場

大規模修繕工事にかかる費用の平均や、適正価格の業者を見つけるためのポイントをまとめています。

大規模修繕工事にかかる費用の相場

大規模修繕は、マンションやビルの経年劣化に伴う不具合や老朽化をまとめて修繕・改修を行う工事です。

防水工事や外壁工事、下地補修などを始め、設備のリニューアルまでさまざまな工事を一括で行うため、かなり大がかりな工事となります。

その際の費用は住民が負担することになります。実際どのくらいの費用がかかるものなのでしょうか?

一般的に、一度の大規模修繕でかかる費用は1戸当たり100万円前後と言われています(※あくまで目安です。工事内容や建物の状況で変動します)。

また、大規模修繕工事では、労働安全衛生法などの法令の要請により必要なものや、その他の仮設工事をともないます。たとえば、作業員の詰め所やトイレ、足場、電気の仮設工事などです。マンションの規模にかかわらず必要な費用によって、小規模マンションでは一戸あたりの負担が大きくなることもあります。

これらの費用は、大規模修繕を行う際に急に支払うものではなく、「修繕積立金」として、月5,000円~1万円程度を積み立ててきた貯金から出されることになります。

ただし、工事の内容や見積金額によっては、積立金よりも高額になる場合もあり、その場合は、工事を縮小するか、新たな費用をねん出するかを話し合わなければなりません。

修繕積立金不足への対応策

大規模修繕工事を行う段階になってから、積立金の不足に直面するケースは少なくないといわれています。それによる工事の縮小や一時的な分担金の発生、金融機関からの借入といった事態を防ぐために行われている対応策をみてみましょう。

修繕積立基金

近年のマンションでは、毎月の修繕積立金とは別に修繕積立基金を設けることが一般的になっています。修繕積立金には滞納の問題もありますが、マンション購入時に一括で納付される修繕積立基金には、滞納のおそれはまずありません。

修繕積立基金は、たとえば修繕積立金の50倍など、ある程度まとまった金額になります。しかし、分譲価格からみればそれほど大きくはないものです。そのため、千万円単位となるマンション購入時の負担感が小さく、集めやすいものといえるでしょう。

修繕積立金ガイドライン

修繕積立金と実際にかかる大規模修繕費用との乖離が激しいケースが少なくない状況を受けて、国土交通省では2011年4月に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」をリリースしています。

このガイドラインの特徴は、必要とされる修繕積立金の目安額を算出する計算式が示されていることです。

設定されている専有床面積1平方メートルあたりの金額(平均値)に、購入するマンションの専有床面積を掛けたものが修繕積立金の目安で、一戸あたりの月額となります。当該マンションに機械式駐車場が設置されている場合は、それによる加算があります。

具体的には、15階建て未満のマンションにおける平均値が、全体の建築延床面積5000平方メートル未満で218円です。また、5000~1万平方メートルが202円、1万平方メートル以上が178円で、20階建て以上のマンションは一律に206円となっています。

たとえば、14階建てで建築延床面積が6000平方メートルのマンションの場合は、専有床面積1平方メートルあたり202円が平均値です。このマンションの90平方メートルの物件を購入すると、202×90で1万8180円が修繕積立金の目安となります。

ちなみに、15階建てから19階建てのマンションについては、絶対数が少ないことから金額が明示されていません。そのため、15階建て未満と20階建て以上に挟まれた金額を推定することになります。

また、このマンションに機械式駐車場が設置されているとすれば、マンション購入部分の専有床面積に応じた負担率にしたがって加算されます。金額は機種や台数によっても異なりますが、数千円程度となるでしょう。

さらに、ガイドラインでは平均値の他に、修繕積立金の適正範囲を示すための「事例の3分の2が包含される幅」を設定しています。前述した例の平均値が202円における幅は、140円~265円です。つまり、1万2600円から2万3850円までの幅があります。

ただし、この範囲に入っていれば無条件に適正だとは限りません。なにしろ、約2倍もの上下差があります。この範囲内のどの部分が適正となるかは、物件によって異なると考えたほうが無難です。また、修繕積立金の額がこの範囲にも入らないからといって、著しく不適当な金額だと決め付けることもできません。

しかし、目安として参考にすることで、大きく過不足が出ることを防止する可能性が高まります。

大規模修繕の実例

ここでは実際のマンション大規模修繕の施工事例を紹介します。

物件Aの施工事例

埼玉県のとある地域にあり、築年数は1986年、地上7階建ての60世帯が入る物件です。工事の内容は、足場仮設工事・塗装工事・落下柵工事・舗装工事・鉄部塗装工事・防水工事・シーリング工事・面格子取付工事・ドアパッキン交換工事・受水槽補修工事など。
大規模修繕工事は2回目であり、マンションだけの工事だけでなく敷地内の舗装も今回施工しました。かかった総工費は5,000万円以上でした。

物件Bの施工事例

東京都内23区内にある、築年数1988年の地上6階建て40世帯のマンションです。施工内容は足場、塗装、屋根、シーリング、防水、薬品洗浄、電気、手摺取付などの工事を行いました。
工事費用は2,500万円~3,000万円。

物件Cの施工事例

東京都の西に位置する、築年数1988年の4階建て38世帯の物件です。工事の内容は、足場工事、塗装工事、防水工事、長尺シート工事、屋根、シーリング、薬品洗浄工事など。
今回の修繕でマンション全体にラグジュアリー感が出て、新築当時のような状態になりました。
費用は2500万円~3000万円です。

物件Dの施工事例

千葉県の西寄りに位置し、築年数は2000年、8階建て65世帯が入る物件です。施工内容は足場、塗装、防水、シーリング、下地補修、長尺シート、タイル工事など。
総工費は約1,500万円台~2,000万円です。

物件Eの施工事例

東京と千葉の間辺りに位置する、築年数2000年の地上10階建て20世帯の物件です。実施した工事内容は足場、塗装、防水、シーリング、長尺シート、ダイノックシートなど。
工事費用は1,500万円~2,000万円。

費用を抑えて高品質の大規模修繕を実現するためには?

数千万単位での支出となる大規模修繕工事ですが、できれば工事費用はなるべく安く抑えたいものです。

しかし、必要な工事の内容は、その建物の広さ、劣化具合、築年数、予算などによって多岐にわたり、費用も様々なパターンがあります。

また、見積もり内容も業者によって工事項目や試算の計算式などが異なり、素人では比較が難しい場合が圧倒的に多いようです。

コストを最小限に抑え、必要な箇所に十分な修繕を行ってもらうためには、建物診断から修繕計画、施工まで必ず第3者の目を入れること。

管理会社に任せるばかりではなく、第三者機関(設計コンサル)に助言を仰いだり、住民たち自身で工事内容を吟味したり、提案内容が適正かどうかを考える過程が大切です。その上で、実績の豊富な業者(複数社)にできるだけ条件をそろえた見積もりを依頼しましょう。

また、それぞれの工事内容において、どの工法を使うのか、どの材料でどれくらい使用するのか、を明確に記載してもらうようにしてください。

ある程度条件をそろえた見積もりを比較すれば、おそらく、ある価格帯に見積額が集中するはずです。その価格帯こそが、適正価格。

それよりも明らかに高い、もしくは安い業者には、それぞれ理由があるはずです。例えば、何かオプションのサービスが付いていたり、もしくは逆に一部のサービスを削っていたり、といった具合です。

大規模修繕は、適正な価格で、不備のない工事をしてもらうのが大前提です。業者選びには、妥協しないようにしましょう。

このサイトでは、実績豊富で評判も高い大規模修繕業者もまとめていますので、合わせて参考にしてみてください。

設計監理方式における利益相反行為

ひとつ注意しておきたいのが、マンションの管理組合や区分居住者のためにならない業者の存在です。うっかり悪徳業者に依頼してしまうと、大規模修繕工事の費用が過大なものとなってしまいかねません。

国土交通省からの通知

2017年1月、国土交通省は「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」という通知を出しています。通知先は以下の4団体です。

  • 公益財団法人マンション管理センター
  • 一般社団法人マンション管理業協会
  • 一般社団法人日本マンション管理士会連合会
  • 特定非営利活動法人全国マンション管理組合連合会

この通知が出された背景には、設計コンサルタント業者に診断、設計、監理等を依頼して行う「設計監理方式」と呼ばれる大規模修繕工事に際し、管理組合と利益が相反する業者の存在があります。

本来、注文主である管理組合の利益になるように仕事をすべき設計コンサルタント業者の一部が、談合などによって管理組合に損害を与えるような行為をしているというのです。

そこで、大規模修繕工事に関する相談窓口を周知する通知に至っています。ここでいう相談窓口は、以下の2団体です。

  • 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
  • 公益財団法人マンション管理センター

少しでも不明な点や疑問があれば、上記相談窓口を有効に活用して、失敗のない大規模修繕工事を目指しましょう。

同じ戸数でも階数が違えば費用が変わる<屋上の面積>

マンションの大規模修繕の費用は、当然ですがそのマンションの戸数によって異なってきます。費用の比較も、多くの場合1戸あたりの工事費を比較する形となっています。しかし、しばしば「戸数は同じであっても階数が違うと費用が異なってくる」ということがあります。
こうしたケースはどうして起こるのでしょうか?

例えば、同じ50戸のマンションAとBがあったとします。
戸数は同じですが、マンションAは5世帯×10階+1階エントランスの11階建て、マンションBは10世帯×5階の5階建て。この場合、マンションAの屋上は5世帯分の広さ、マンションBは10世帯分の広さとなり、倍の違いが出てくるのです。

また、戸数が同じでも吹き抜けの有無や各戸の専有面積などの建物の構造が大きく異なる場合でも、費用は大きく異なってきます。上記の理由から、大規模修繕費用の比較は、戸数の違いだけでなく平方メートルあたりの専有面積の比較も行うことが大切であると言えるでしょう。

大規模修繕を得意とする
施工会社3選

カッコ

ジョスコム

ジョスコム
二重線

お薦めPOINT

二重線

自社施工による一貫工事で低コスト・高品質を実現。
住民とのやり取りを重視した、正確な仕事に定評。
国立国会図書館の修繕も手掛けるなど施工技術は折り紙つき。

カッコ 線 カッコ

ヨコソー

ヨコソー
二重線

お薦めPOINT

二重線

100年以上もの実績を誇る大規模修繕工事業者。
建築美と機能への挑戦をモットーに、質の高い工事を提供。
光触媒や環境対応型塗料の使用など、時代に応じた施工を提案。

カッコ 線 カッコ

リノ・ハピア

リノ・ハピア
二重線

お薦めPOINT

二重線

独自に工法を開発するなど、質の高い工事を追求。
プロ意識の高い、見えないところまで手を抜かない施工に定評。
住民の生活までしっかり見据えたサービスを提供。

カッコ