マンション大規模修繕のよくあるトラブル

大規模修繕工事中、こんなトラブルがあったらどうしたらいい?よくあるトラブルと対処法をまとめています。また、万が一のトラブルに対する、大規模修繕工事の保険についても調べてみました。

ぜひ参考にしてみてください。

マンション大規模修繕工事によくあるトラブルとその対策

工事期間だけで2ヶ月~8ヶ月と、長期間にわたる大規模修繕工事。新築工事とは違い、住民が暮らしている中での工事となるため、きちんとした周知を行っていないと苦情につながったりといったトラブルが発生します。

これらのトラブルは、事前の対応で防ぐことができます。よくあるトラブルの対応策と、トラブルを起こさないための予防法を以下にまとめてみました。

ケース1.「施工後、短期間での不具合」

【概要】

外壁塗装や防水工事、下地補修工事などでよく見られるこのケース。

通常、修繕工事は10年程度の耐久性を想定して行われますが、工事から1~2年で雨漏りが発生したり、ひび割れ部分が再度ひび割れてきたりといったことが起こることがあります。

補修が甘かったり、洗浄や下地の処理をしっかりと行っていなかった場合などに起こりやすいトラブルです。

【対策】

修繕委員会やマンションの理事会に工事に関する専門家がいない場合は、工事の進行状況や、手抜きしているかどうかということも見わけが付きにくく、信頼して任せたのに実は手抜き工事だった…ということも起こりがちです。

そこで必要なのが、

  • アフター保証サービスの確認
  • 工事の監理を徹底する

一番の対策は、工事作業の監理を徹底すること。

たとえば計画では3回塗ることになっているのに、2回で終わっていないか、防水塗料は予定していた銘柄のものを使用しているか、など一工程ごとに監理者が仕上がりをチェックし、状態を確認できるようにした方が安心です。

また施工会社によっては、工事完了後も数年ごとに定期点検を行い、工事箇所の状態をチェックしてくれる点検サービスや、万が一追加での補修の必要性が生じた場合に、保証期間以内であれば無料で対応してくれる保証サービスを行っているところもあります。

ケース2.「修繕積立金が不足」

【概要】

分譲マンションの場合、新築時は修繕の必要性を感じないため、修繕積立金が相場よりも安く設定されていることが多くあります。

それを見直さないまま10数年間貯蓄していたとしても、実際の大規模修繕工事費用としては足りないという事態は実はそんなに珍しいことではありません。

【対策】

  • 修繕積立金を値上げし、数年間かけて不足分の費用を用意する
  • 不足分を一時金として住民たちから徴収する
  • 修繕工事の内容を見直し、最低限の工事にする

どの対策を取るにしても、住民説明会などで十分に議論を行い、なるべく住民が納得した形で行うことが望ましいと言えます。

また、2回目以降の修繕工事で費用が不足することのないよう、資金計画と修繕計画の見直しは定期的に行いましょう。

ケース3.「住民からのクレーム」

【概要】

大規模修繕工事に関するトラブルで最も多いのが、修繕工事中の騒音やにおい、煙、日当たりなどに関するマンション住民または近隣からのクレームです。

マンション全体に足場を組み、防護ネットなどをかける場合は、日当たりが悪くなりますし、塗装の際には洗濯ものを干せない等、住民にも様々な不便が生じることになります。

また、バルコニーの防水塗装を行う場合は、バルコニーにある私物を一時的に撤去してもらう必要があり、このことも苦情につながることがあります。

【対策】

事前に「○日~○日までこのような工事でこういう不便が生じる」ということを広く周知しておくことが大切です。

総会での伝達はもちろん、各戸にスケジュールを記載したお知らせを投函する、マンションのエントランスなどに工事に関するホワイトボードなどで、工事の状況を逐一伝えるなど、いくつもの手段で周知することで「聞いていなかった」「いつ終わるのか」などといったクレームを防げます。

また、1回目の大規模修繕が終わった際に住民にアンケートを取り、工事に対する不満や要望を調査しておくと、2回目以降の工事に役立ちます。

場面1「工事の際にプライバシーの侵害が起こってしまった!」

【概要】外壁の工事を行う際に、工事員から入居者の室内が見えてしまった。また、室内への立ち入りの際にトラブルが起きてしまった。

【対策】

工事説明会の際に、工事中にはカーテンを閉めることなどをしっかりと説明しておきましょう。また、古い建物の場合は共有管などの補修のために室内への立ち入りが必要になることがあります。入室に関しても必ず入居者への許可を取ること、特に不在時のトラブルを避けるように徹底することが大切です。

場面2「工事中に空き巣が入ってしまった!」

【概要】修繕工事のために設置された足場を伝って室内への侵入が起こった。

【対策】

修繕工事中はどうしても建物のセキュリティーが弱くなってしまうので、施工会社から無償で補助錠を貸し出してもらう、死角部分に人感センサー付きのサーチライトを設置する、監視カメラを設置するなどの対策を用意しておきましょう。特に工事中の監視カメラはそれ専門の業者もあるので調べてみましょう。

ケース4.「大規模修繕工事中に業者が倒産した場合」

【概要】

起こってはならないことですが、まれにマンション大規模修繕工事中に業者が倒産するケースがあります。

業者が倒産してしまうとどのようなことが起こり、マンション管理組合はどのような対応をとればよいのでしょうか。

倒産してしまった場合、修繕工事に使う資材が手に入らなくなることがまず考えられます。また、作業員をする人たちに対しての賃金も払われてない可能性も大きく、修繕工事の継続は不可能でしょう。

会社が倒産した後の流れとしては、業者は裁判所へ申請し破産手続きを取ります。破産管財人が選任され、その後のやり取りは全て破産管財人を通すことになります。破産管財人は、進行中の大規模修繕工事を継続するか否かも判断する人です。完成間近でないかぎり、工事は中断し請負契約も解除される可能性が大きいと考えられます。

解除される前に、マンション管理組合側から、契約解除を申し出たいという場合もあるでしょう。その場合、窓口はやはり破産管財人で、業者とのやり取りはできません。契約解除が認められたなら、前渡金と工事の出来高の清算をすることになります。工事があまり進んでないのであれば、過払金の返金を求め、新たな業者を選定し工事を進めたいところです。しかし、相手の業者は破産しています。こちら側の請求金額通りに返ってくるとは限りません。

このように、大規模修繕工事中に業者が倒産した場合は、予定通りに工事が完了することができません。万が一に備えマンション管理組合は、どのような対策を取っておけばよいのか、取り上げます。

【対策】

その1.業者選定は入念に

技術面では、施工実績の確認が必要です。過去3年間に同規模マンションの大規模修繕工事を何件請け負い完了させたのか、実績が多い方が技術面で安心できます。

業者選定する時に一番気になるのは、見積金額です。大規模修繕工事は、高額なので少しでも安い業者をと選びがちです。そこで見落としてしまうのが業者の決算書。通常入札前には、施工実績と同様過去3年分の提出をしてもらいます。

しかし、見慣れない決算書は、経営的に良い悪いは素人にはわかり難いです。そのような場合は、マンション管理組合員の中に会計に詳しい人がいるようであればその人を中心に確認しましょう。もし、詳しい人がいないのであれば会計士に頼むなど専門家に相談し確認してもらうのも良いかもしれません。

いずれにしても、破産しそうな会社に依頼しないことが、大規模修繕工事中に倒産に見舞われないことに直結します。提出された書類は入念に確認しましょう。

その2.連帯保証人について

<建設業法第二十一条>
建設工事の請負契約において請負代金の全部又は一部の前金払をする定がなされたときは、注文者は、建設業者に対して前金払をする前に、保証人を立てることを請求することができる。但し、公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和二十七年法律第百八十四号)第二条第四項に規定する保証事業会社の保証に係る工事又は政令で定める軽微な工事については、この限りでない。
2 前項の請求を受けた建設業者は、左の各号の一に規定する保証人を立てなければならない。
一 建設業者の債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金の支払の保証人
二 建設業者に代つて自らその工事を完成することを保証する他の建設業者
3 建設業者が第一項の規定により保証人を立てることを請求された場合において、これを立てないときは、注文者は、契約の定にかかわらず、前金払をしないことができる。
※国土交通省・建設業法(抄)第21条より抜粋

建設業法第21条には、工事費用を全額または一部前払いした場合は、保証人を立ててもらうよう請求ができることを認める内容です。もし、請負業者が拒否した場合は工事費用の全額または一部の前払いはしなくてもよいとされています。

通常連帯保証人は、同業者の建築会社なっていることが多く、金銭面の保証に変わって、工事を引き継ぐ保障となっていることが多いです。

参考:

『建設業法(抄)第21条』国土交通省

その3.保険に入っている業者との契約

業者の倒産アクシデントを避けるために決算書を確認しても見えない部分があり、回避できない場合があります。また、連帯保証人についても、大規模修繕工事のように金額が高額な場合、連帯保証人がすぐに支払ってもらえるかもわからないです。

倒産のリスクをスムーズに回避できるのが工事の途中で業者が倒産してしまった時に、保障してもらえる「工事完成保証」です。保障内容は、取り扱う保険会社によって多少違います。大きく分けると2つのパターンがあり、一つは前払いしたお金と出来高の差額が戻ってくるパターン。もうひとつは、保険会社に加盟している業者に工事を引き継いでもらうパターンです。後者を利用すれば、工事が滞ることなく完了できます。これは業者が加入する保険で、保険に入っている企業であることが入札に参加できる条件とすればより安心ができます。

参考:

『工事完成保証システムとは』大規模修繕設計管理協会

請負う業者と発注するマンション管理組合が交わす、工事請負契約書式と約款。これを専門につくっている「連合協定工事請負契約約款委員会」という機関があります。ここでつくられる工事請負契約書式と約款は、改正された建設業法や民法を反映していて多くの大規模修繕工事契約で使われている様式です。その中には、工事完成保証の記入欄があり、大規模修繕工事に保険をつけることは、今や必須となりつつあります。契約を結ぶ業者が保険に入っていることは確認しましょう。

もう一点保険で注目したいのが、同じく連合協定工事請負契約約款委員会がつくる契約書の中にある「大規模修繕工事瑕疵保険」。住宅瑕疵担保履行法が施行されたことに伴い、平成22年10月に国土交通省が認可した保険です。これは工事完成保証とは、保障内容が違います。

大規模修繕工事が終わったからといって工事を請負った会社との付き合いは終わりとはなりません。工事終了後も工事によって期間を定め、不具合が出た場合には、請負った業者が補修をする取り決めがされています。しかし、ここでも業者が倒産してしまう可能性があります。そのような事態が起きた場合に安心できるのが「大規模修繕工事瑕疵保険」です。これに入っていれば、保険会社が選定した業者が代わりに修繕補修を行ってくれるシステムになっています。

国土交通省では、大規模修繕工事瑕疵保険会社を5社指定します。認可当初は6社ありましたが、平成30年1月現在5社となっています。これら保険会社の会員になっている業者を選べば、万が一倒産ということになっても慌てる必要がなく安心です。

大規模修繕工事瑕疵保険国土交通省指定業者 工事完成保証有無
住宅あんしん保証(株) 住宅完成保証制度あり
(財)住宅保証機構 住宅完成保証制度あり
(株)日本住宅保証検査機構
(株)ハウスジーメン
ハウスプラス住宅保証(株)

参考:

『住宅瑕疵担保責任保険法人について』国土交通省住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室

トラブルで後悔する前に!知っておきたいマンション大規模修繕の瑕疵(かし)保険

大規模修繕瑕疵(かし)保険とは、大規模修繕工事の際に雨漏りやタイルの剥がれ、配管の破損などのトラブルが起こったときのための保険です。

大規模修繕のトラブルが少なくなかったため、国土交通省が認可する形で、指定の法人から保険が販売されるようになりました。

工事業者が、工事のさいに保険会社の現場検査を受ける、というのが契約条件で、もしキズや欠陥などが後から発覚した場合には、修繕費用のおよそ80%が支払われます。保険の対象となるのは、修繕工事を施した部分のうち、構造部分、防水部分、給排水管路・電気設備などとなっています。
保険期間は5年間、ただし手すりなどについては2年間となっています。

また、工事業者が倒産してしまうなどして、工事自体が果たされない場合には、費用の全額を請求することが可能です。

瑕疵保険は義務ではありませんが、予算に余裕があったり、万全の備えをしておきたい要望があるなら、工事業者に利用を打診してみることをおすすめします。

詳細な支払対象は、以下のようになっています。

  • 構造耐力上主要な部分
    保険金を支払う場合:基本耐力性能を満たさない場合
    事象例:建築基準法レベルの構造耐力性能を満たさない場合
  • 雨水の浸入を防止する部分
    保険金:防水性能を満たさない場合
    事象例:雨漏りが発生した場合
  • 給排水管路
    保険金:通常有すべき性能または機能を満たさない場合
    事象例:(設置工事の瑕疵による)水漏れ、逆勾配
  • 給排水設備、電気設備
    保険金:機能が失われること
    事象例:(設置工事の瑕疵による)設備の機能停止

トラブルを未然に防ぐには

何ごとにも予想外のトラブルはつきもので、それはマンションの大規模修繕工事でも同じです。特に大規模修繕工事は大掛かりな工事になりますので、思わぬトラブルが起きる可能性があります。
そんなトラブルを未然に防ぐためには、事前に修繕・施工会社をしっかり選んでおくことが大切です。

大規模修繕工事は大規模かつ長期間に渡る工事になりますし、マンションという性質上プライバシーやセキュリティーの観点も必要になってきます。
業者の口コミなどもよく調べて、より良い業者を見つけるようにしましょう。

大規模修繕を得意とする
施工会社3選

カッコ

ジョスコム

ジョスコム
二重線

お薦めPOINT

二重線

自社施工による一貫工事で低コスト・高品質を実現。
住民とのやり取りを重視した、正確な仕事に定評。
国立国会図書館の修繕も手掛けるなど施工技術は折り紙つき。

カッコ 線 カッコ

ヨコソー

ヨコソー
二重線

お薦めPOINT

二重線

100年以上もの実績を誇る大規模修繕工事業者。
建築美と機能への挑戦をモットーに、質の高い工事を提供。
光触媒や環境対応型塗料の使用など、時代に応じた施工を提案。

カッコ 線 カッコ

リノ・ハピア

リノ・ハピア
二重線

お薦めPOINT

二重線

独自に工法を開発するなど、質の高い工事を追求。
プロ意識の高い、見えないところまで手を抜かない施工に定評。
住民の生活までしっかり見据えたサービスを提供。

カッコ